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『白濁の楽園 ― タカヤの夜Ⅱ』

前回のあらすじ

「理性を喪失したタカヤ」が“ひなた”との一夜に溺れはじめたところから、その余韻と、再訪によって始まる新たな中毒の深まり・・・

翌朝――

新橋の喧騒は、昨夜と何も変わらずに始まっていた。
だが、タカヤの中では何かが確実に“変質”していた。

「……これは、ただの風俗じゃない」

身体ではない。射精でもない。
もっと本能的で、もっと深い欲求。
言葉にできない何かが、確かにあった。

オフィスのPC画面に視線を落としながらも、
彼の脳裏には“ひなた”の乳房がこびりついていた。

張り詰めた肌、あふれる乳液、
そして、吸い付いた瞬間に溶けてゆく彼女の笑顔――

「……っ」

ズボンの下で、反応している自分に気づき、
タカヤは慌てて立ち上がった。

「午後の打ち合わせ、代理頼めるか?」

周囲には、デキる男の“余裕”を見せながら、
彼の本能は、再び“あの場所”へと向かっていた。


「お帰りなさい、タカヤさん」

その声を聞いた瞬間、全身の力が抜けた。
会社では呼ばれることのない“名前”――タカヤ。
そこには、役職も肩書きも、必要なかった。

「今日は……いっぱい出る日なんです」

ひなたの声は、前回よりもさらに甘く、
そして、どこか淫靡な響きを帯びていた。

ふくよかな身体は前回よりもしっとりと濡れて見えた。
母乳の量が増す日と減る日があるという説明に、
彼は妙な高揚感を覚えた。

「赤ちゃんみたいに、いっぱい飲んで。ね?」

その瞬間、理性という名の薄皮は完全に剥がれ落ちた。


「んっ、んぅ……すごい、タカヤさん……
 そんなに、そんなに吸われたら……もう……」

彼女の言葉が震える。
だがその震えは、嫌悪でも拒絶でもなく、
むしろ“悦び”に近い何かだった。

「まだ出る。まだ……もっと出せるんだろ?」

自分でも知らない声が口から漏れた。
低く、熱を帯びた命令のような口調。

「うん、いいよ……いっぱい、吸って……
 全部、あげるから……ぜんぶ、飲んで……」

タカヤの唇は乳房から離れず、
むせ返るような甘い液体が口腔を満たすたび、
彼の脳内は白濁した快楽で満たされていった。

「母乳って、栄養だけじゃなくて……
 ホルモンも含まれてるの、知ってる?」

「ホルモン……?」

「うふふ……飲んだらね、もっと欲しくなるの。
 私のこと、ずっと忘れられなくなるよ」

その囁きに、ゾクリと背筋が震えた。

欲望を煽るその言葉は、
明らかに“プロの技術”を超えていた。

これは――“依存”だ。


タカヤはその夜、
ひなたの両乳房から、交互に、執拗に母乳を吸い続けた。
一滴残らず飲み干すことが、まるで“儀式”のように思えた。

「お腹いっぱいになった?」

「……足りない」

「ふふ……また、明日も来る?」

「……ああ」

「タカヤさんだけに、もっと特別なミルク、あげるね」

そう言って彼女は、
彼の手をそっと、自分の下腹部へ導いた。

乳房の熱、母性の甘さ。
そして、女としての湿り気――

その全てが、タカヤを一線の向こうへと引きずっていた。


扉を出た瞬間、新橋の空気が冷たく感じた。

だが、その冷気でさえ、
ひなたの“体温”にかき消されてゆく。

「……ヤバいな」

そう呟いた自分の声が、わずかに笑っていた。

まだ2度しか会っていない女に――
タカヤは、すでに“堕ちて”いた。

(第3回へつづく)

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